愛は尊い
車に乗り込み
ホテルの入り口へと視線を送った
もしかしたら
操さんの姿が見れるんじゃないか、と
…あっ、
声にならない声だったため
秘書さんは気にせず車を発車させた
見なきゃ良かったと思ったが
一度目にしたら見入ってしまう
少しずつ見えなくなる操さんの姿
「どうかされましたか」
バックミラー越しに
私の様子を伺ってくる秘書さん
なんでもない、と伝え座り直した
操さんとの距離が縮まったと思ったのは
ほんの数時間で
全く縮まっていなかったのかも
私が目にしたのは
背高く、すらっとした美人さんが
操さんに話しかけていた
それを拒むことなく
美人さんの腰に手をあて
受け入れていた操さん
その顔がとても柔らかく
とても嬉しそうな顔
そして誰がどう見ても
お似合いのカップルだった…
ほんの少し前の喜びが
一気に冷めてしまった