愛は尊い
訪問者
「音様、生花というのは見た目も大事です…が、心が一番表れます」
『はい』
一本一本
花を指先で持ち、
剣山へと…
「音様」
勝田さんの言葉に動きが止まる
いつも声をかけるなんて
絶対しない勝田さん
「少し、休憩しましょう」
『…いえ、まだ大丈夫です』
「いいえ、今の音様では全く身になっておりません」
真っ直ぐな目でギロッと見られては
何も言い返せない
わかりましたと、
持っていた花を置いた
片付けをしリビングに戻ると
勝田さんがキッチンに立っていた
食事の用意には早い
ならお茶にするのかと思えば何もしていない
勝田さん?と話しかけると
私に布らしきものを渡してきた
「音様のです」
受け取った布らしきものを広げると
それは一度も手にしたことがない
エプロンだった