愛は尊い


監視されてるようで
正直、あの秘書さんが苦手
どこかへ出かけるとなると
必ず車で迎えに来る
用が終わるまで、ずっと待っている

仕事なのはわかっているが
息がつまる…



『私一人で帰るのはダメですか?』


「それは、旦那様に聞いてください」



それもそうだ
勝田さんは家政婦で
この家の主でも、住人でもない
操さんに確認か…


思えば、操さんと会話らしい会話を
殆どしていない
いつも操さんの食事中は無言
操さんの食事が終わるのを
ただ見ているだけだ



『…今日、聞いてみます』


一度でいいから家に帰りたい
そして、きちんと話を聞きたい
携帯解約の話と
借金…と、今の状況を

私には知る権利があるから


「そうですね。これからの話もされた方がよろしいかと思います」


そう話してくれたが
私はそこまで話す勇気はまだない


< 116 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop