愛は尊い


…メリット?
そんなこと、考えもしなかった
私が一人で家に帰ることで
操さんにメリットが発生するわけが無い


「前に言ったはずだ、自分の立場をお前は理解しているのか?」


冷たい視線…
そうだ、私は…操さんに買われた身だ
操さんが助けてくれなかったら
私は…私たちは今頃…


そう考えたら、何も言えない
ぎゅっと掴んだ手を緩めた



「いい、来い」



離れた手
まさか掴まれると思わず
身体がビクッとしたが
あっという間に引っ張られ歩かされた
何がなんだか、
どこに連れて行かれてるかと思えば
いつも眠っているベット


身体を起こした時には既に遅し
目の前には操さんがいる
まさか…、

今まで何もなかったのに、
まさか訪れるとは思わなかった
あの日のことが頭をよぎる…が
あの頃と今は明らかに違う


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