愛は尊い
何事かと見ていたら
勝田さんで見えなかった訪問者が
ひょっこり顔を出した
リビングの入り口にいる私を捕らえると
勝田さんを押しやり
目を輝かせながら靴をぬいで
私の方へと一直線に走ってきた
「あなたが、音ちゃん?」
大きめな口とぱっちり二重な瞳
風になびいている綺麗な髪
ニッコリ笑えば
お花が咲いているかの様だ
『…あ、はい。音です』
圧倒されつつも返事を返せば
会いたかったわ、と
私に抱きついてきた
いきなりのことで
何が起きたか全く理解出来ない
心臓がバクバク鳴っている
どうしたものかと
動けないでいると
「果歩、驚いているじゃないか」
前方から少し白髪交じりのダンディという言葉が当てはまる男性が向かってきた
男性の言葉でようやく離れてくれたが
一体誰なのか全く分からず
二人を凝視していると
ごほん、と咳払いをした勝田さん