愛は尊い


一緒に居たくない、


そう感じた私は
膝の上に置いていた手をギュッと握った



『果歩さん、すみませんがーー』



これで失礼します、と言おうとしたら
音、という低い声が聞こえてきた
振り返ると、そこには
まだ勤務中だろう操さんの姿
操さんの後方には秘書さんがいる

いつからいたのか、
どうしているのかわからない


「操くん!」


嬉しそうに弾ませた果歩さんの声
果歩さんは操さんに向けて
手を振っている


気色悪い…
やはりそう思ってしまう
もしかしたら
私が邪魔なんじゃないかと…


鞄を持ち、私は立ち上がった
座っている果歩さんと目があった


ふふっ、と笑うルージュ
私、果歩さんが嫌いだ


何も言わず帰ろうとしたが
それを止めたのは、操さんだった
握られた手
驚いて操さんの顔を見ると
視線は私ではなく
座っている果歩さんへと向けられていた


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