愛は尊い
やはりいないのかと諦めかけた時
ガチャ、とゆっくり玄関のドアが開いた
開いたドアから顔を出したのは
久しぶりに見た田野さん奥さんだ
「…どちら様、でしょうか？」
『お久しぶりです！本田…音です』
そう言うと、田野さんの奥さんは驚いた顔をして玄関を飛び出してきた
「音ちゃんっ！どうしてここに！」
奥さんは何故か辺りをキョロキョロ見回し私を囲うように肩を抱き
家の中へ入れてくれた
中に入れば
田野さんもいて
私の姿を見て驚いていた
「音ちゃん！どうして！本田にここに行けと言われたのかい！？」
田野さんも何故か慌てた様子で
奥さんはまだ明るいのに
カーテンを閉め始めてしまった
なぜそんな事をしたのか
それは後になってわかった
それが運命の選択だと
その時は全く予感もしていなかった
