愛は尊い
「あの人は、誰でもよかった。親父でも…じじいでも。家庭教師として、あの家に招かれてから、変わっていった。そして既成事実が欲しかった。ガキだった俺にモーションをかけてきたが、痺れを切らし親父へと向けられ、お袋がいない寂しさもあって親父はそれを受け入れた」
果歩さんは
嘉賀家の豊かさに憧れを持ち
自分もその中に入りたいと
強く思うようになったのだろう
操さんとの暮らしは
確かに私が住んでいた世界と
かけ離れている
誰もが一度は夢を見る金持ち
ただ、それが全てじゃないのを
私は知っている
「親父は…あの人の考えを理解している。口には出さないが…だから親父も寂しさを紛らわす形で利用しているんだ。お互い様ってヤツだ」
何か、投げやりな言い方
聞いていいかわからないけど
これを逃したら聞けないと思い
意を決して、ぶつけてみた