愛は尊い


その日の夜、操さんに聞いてみると
郷田先生の話と同じ


「急ぐのをやめた」


あれだけ時間がないと
強姦まがいなことをしといて
どういう心境かと思ったが
素直に話してくれるような人ではない


それならそれで、ありがたい
あの行為は私にとって苦痛でしかない



「音様、お時間は大丈夫ですか?」


勝田さんが声をかけてくれ我にかえる
時計を見れば
約束の時間に迫っていた



『やばっ、急がなきゃ。勝田さん、すみませんが、あとお願いします』


慌てて鞄を持ち玄関へと向かった
今日は結婚して3ヶ月、
初めて実家という名の家は帰る
もちろん、一人でだ


こんな日が来るなんて
思いもしなかった
帰りだけは車を呼ぶという約束をし
私は一人で帰省する許しが出た


「転ばぬよう、気をつけてください」


そう言って
私は外へと出されたわけだ


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