愛は尊い
番外編
※※


「なんであんな嘘ついた?」



カチッとジッポのふたを開ける
煙草を吸いながら
ニコニコ笑っている楓を見た



「うそ、じゃないわ」


「お前は買われたわけじゃねぇだろ、自らオヤジの懐に入っていっただろ」



俺はそれを知っている
音の事を思って
作り話をしたのだろうが
それにしても、
どこか納得できねぇ…


「それは…」


楓が視線をそらし
俺から離れていった


ちっ、


舌打ちをしながら
まだ吸ったばかりの煙草を消した




「楓」


バルコニーにいた楓を呼び止めた
春風が頬に触れる



「音ちゃん見てたら、うそもつきたくなっちゃうの…どうにかしたいって…」



知ってる、
音を見ていたら
昔の楓を思い出した

遠い昔のように感じる
あの頃は良かった、とすら思える


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