愛は尊い



「うわぁ、泣かないでよ。ちょっと借りただけ。借りたんだから、ちゃーんと返すから許してくれよ」


わざと言葉にしながら
仲間だろうか、隣からクスクスと
笑い声も聞こえる


借りたんだから返す
それは多分…
借りたなら返せってコトだ



『結構です。私、違いますから』


あくまでも、私は本田音じゃないと言い張り、彼らから逃げようと
返却口にトレイを戻した


そのまま店を出ようと
チラッと彼らが視界に入る
私に話しかけた人はどこかへ電話していて、仲間だろう人は私を見てニヤニヤしている


逃げろ、と頭に言葉が浮かんだ
急いで店を出る
が、残念なコトに
このカフェへ2階
階段を降りると既に2人組みのスーツ姿の男がい立っていた


「本田音ちゃん、お父さんに会いに行こうか」


その声はゆっくりと階段を降りてくる
さっきの男の声だった


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