愛は尊い
もう、逃げられないんだ…
そうわかると、もう抵抗する気力さえなくなってしまった
それ以上に
これからなにが起こるのかわからない恐怖の方が強く、気を抜いたら泣いてしまうのではないかと歯をくいしばる
「ちょっと話するだけ。決めるのは音ちゃんだから、あんまり力まないでな」
隣に座っている男
黒崎と名乗り名刺まで渡そうとしてきた
たが、私は受け取らなかった
だって、【黒崎組】と書いていたからだ
闇金のバックにはヤクザがいると判断した
そう思ったら、そんな名刺なんて持っていたくない
黒崎さんが乗る車に揺られ連れてこられたのは、マンションの一室
金持ちの部屋と言った感じ
ツボや絵画が飾られていてる
広いリビングの真ん中に
真っ白なソファが置かれている
大人3人が悠々と寝そべるコトができるくらいの長さだ
こんなのが家具屋にあったら
誰が買うんだよ、と突っ込んでいたかもしれない