愛は尊い


そのソファに座っている人
多分この人が、この部屋の主だ


彼は上から下まで私を見て
興味が無くなったのか
テーブルに置いてあった紙を広い
マジマジと見始めた


その横には色気たっぷりな女性
他にも人がいるにも関わらず
男の膝に自分の足を絡み付け
男の太ももに手を置いている


見ているこっちが恥ずかしい
目をそらせば、女はクスッと笑い
私の方へと歩み寄ってきた



「音ちゃん、可愛い名前ね」


そう言いながら
左手で私の肩に触れ
すーっとラインをなぞり始めた


『や、やめてくださいっ!』


気持ち悪いというより
恥ずかしく、ソファに座っている男も
黒崎さんも私を見ている


「フゥ〜ん、」


何かを確かめるように
そして納得したのか
女はまたソファへと戻っていき
男に何か耳打ちをしていた


< 23 / 159 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop