愛は尊い


ソファに座って私を見ながら
クスクスと話している

とてつもなく不快である


…が、文句を言える立場ではない
この人が闇金の社長さんだろう
ならこの人に売られる?
いや、けど
黒崎さんは私に選ばせるみたいなことを言っていた



『私、働いてお金返します!』


それしかないんだ
それしか方法が、ない…と
決意したのだが
誰もがキョトンとし
そして一斉に笑い始めた



な、なに?
私、何か間違った?



黒崎さんはお腹を抱えて笑う始末
なんなの!と思いながらも
恥ずかしくなり
我慢していたものが溢れてしまった



「くはっ…、あ、え?音ちゃん、何、泣いてんの?なんで泣くんだよ。いやー、腹いてぇ…」


笑いながらお腹を抱えながら
私の涙を確認した黒崎さんは
私がなぜ泣いているかわからず
まだ笑っている


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