愛は尊い
条件
「のーんちゃん」
陽気な声に
緊張していた身体がさらに強張る
2度目だが
やはり慣れることがない部屋
数日前に来たときにはなかった絵画が展示されていた
私を呼んだのは
闇金の男の隣にいた女
今日は真っ赤なタイトなワンピースに 真っ赤な口紅
黒のピンヒールがコン、コン鳴っている
『…こんにちは』
闇金の男のいないようで
女は私の方へと近寄ってきて
私の手を取る
「音ちゃん、私の部屋に行こう」
親戚の家に遊びに来て
昔遊んでくれた親戚のお姉ちゃんを思い出してしまう
黒崎さんを見れば
じゃあな、と言ってドアを開けていた
今日は私を送り届けただけ、みたい
え?
私はどうやって帰るの?と思い
急に恐怖が生まれそうになるが、
覚悟を決めて
部屋へと入った