愛は尊い
女の部屋に入ると
真っ白な壁紙にピンクの花柄のライン
本の世界に入ったかのような
フカフカのベット
ここはどこ?と思う反面
これが、この人の…部屋?と
疑問にさえ思う
「ビックリした?私っぽくないでしょ?」
うん、とは言えず
何も言えなかったが
女は笑いながら
私の手を引いた
座らされたのは
ドレッサーの前
鏡越しに私を見る女は
ニッコリ笑った
「私、楓。よろしくね」
この前、会った時とは違い
距離を感じない
あの時は、私を見定める…と言うか、
そんな感じがした
もしかしたら
あの闇金の男がいないからかもしれない
「私ね、音ちゃんと同じなのよ」
同じ…とは?
何が同じなのかわからない
だって、幸せそうな顔だし
見た目の判断になるが
困っているようには見えない