愛は尊い
帰るところがない楓さんは
そこで生きていくしかなかったという
与えられたアパート、与えられた食事
ただ、身体を提供する毎日
初めて知る男に恐怖を覚え
身体が震える毎日
客はそれを好み、指名する
膣の痛みはなんて
心の痛みに比べたら…
「そんな日々が続いて…もう希望すら持てなかった。あの世界に住み続けるんだって思っていたら…彼に出会ったの」
いや、出会ったと言うか
買われたの、と悲しそうな顔をした
「俺が玩具を探してたんだ」
そう言って部屋に入ってきたのは
昨日の闇金の男
楓さんは男を見るなり駆け寄り
男の胸へと飛び込んで行った
男もそれを受け入れている
どうみても、愛し愛されている
けど、今の話だと…違うの?
男は私の視線に気がつき
顎をクイっと向け、行ってしまった
…来いって、ことなんだろう