愛は尊い


『か、…嘉賀、さまっ?』



ガシッと掴まれた腕
グイッと引っ張られ歩かされ
離されたと思ったら投げられていた
何が何だかわからないが
身体は柔らかいものに守られ痛くない



「そっちに時間がないように、こっちにも時間が無いんだ」


そういうと私の首へと顔を埋め
グイッと左胸に違和感を覚えた



やっ、



反射的に出た言葉に
嘉賀様は少しだけ身体を浮かせた
だが、顔は見えない



「ーー、ーーー」



耳に届いた言葉と同時に
嘉賀様は私の首へと、
そして、左胸を乱暴に揺さぶり始めた



やだと、言っても
腕を押し付けて抵抗はしても
私の力では全く敵わなかった




「恨むなら、お前の親を恨め」



ただ、私は何も無い天井を眺め
流れる涙も拭えず

押し寄せる痛みに
シーツを握りしめていた

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