愛は尊い
音っ、
黒崎さんの車から降りると
玄関から勢いよく出てきたのはお母さん
『お母さん、どうしたの?』
平然と装い
お母さんの身体を受け止めた
私の身体を確認するかのように
一つ一つ触るお母さんの手が…暖かい
『どうしたの?』
「音、何を考えているのっ?音には関係無いのよ?いい?借金はお母さん達がなんとかするからー、」
なんとかする、の言葉に
私は自然と声を出していた
『無理だよ、そんなの』
自分でも驚くほど低い声
音?と私の顔を覗き込むお母さんに
心配をかけたくない
「嘉賀様…て、言うんだけど、優しそうで、いい人だったよ。大丈夫。私、あの人と幸せに暮らすから」
笑顔で言い終えると
お母さんと、送ってくれた黒崎さんを無視して自分の部屋へと向かった