愛は尊い



お母さんに呼ばれた気がしたが
振り返ることなく部屋へ入った
バタン、と閉じたドアに背中を預け
ヘナヘナとゆっくり腰を下ろした



あんなお母さん、初めて見た
あんな必死なお母さん…
自分の選択は間違っていた?
…ううん、間違ってない


借金は相当な額だ
しかも相手は闇金
法的手段をとったとして
払わなくていい、となっても
闇金はどこまでも追ってくるだろう


あんなに人が良さそうな楓さんも
黒崎さんも…闇金の人間



3日後…、カレンダーを見ると
その日は赤丸の印がついてある
何かあっただろうかと
思ったが、すぐに思い出した
ナギサと会う予定
しかも、ナギサの彼氏とその友達も一緒に会うはずだった


何度か会ったことがあって
私の事を気に入ってくれたみたいで
ナギサはくっつけようとしていて
…私もまんざらじゃなくて…、




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