愛は尊い



「…お母さんも、そう思ってたのよ」


それを言うと
お母さんは嗚咽を吐きながら泣き出してしまった
こんなお母さんを見るのは初めてで
どうしていいかわからなくなった


ポツリポツリと話し出したのはお父さん


半年前、お母さんや私も知っている会社の社長さんが事故でこの世を去った
社長さんには息子さんがいて
後継として入社して一年も経っていなかった
けど、黒地続きの会社を倒産させるのは勿体無いと、従業員全員で
息子さんを説得し、お飾り社長を作り上げてしまったらしい


だが、それが不幸の始まり
たった半年で業績はガタ落ち
会社のお金を使い込み、知らない間に
お父さんの会社でしかできなかった事が
ライバル会社へ情報を横流しをしていた


息子は会社より、目先のお金に目がくらんでしまったのだ
そして、私が耳にした人事の話
その人事で驚くことがなされていた


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