愛は尊い


嘉賀様は先代の社長が
早々に社長を引退し海外へ行ってしまい
急遽、跡を継ぐことになったという

それは、嘉賀様が35歳の時
それから7年、毎日ガムシャラに働いて
その間にも縁談の話があったりもしたけど、それどころじゃない忙しさ



「お付き合いしていた人もいたようですが、ここへ連れてきたことは痕跡も無いですし、私がお見かけすることもありませんでした」



忙しさのあまり、女達は嘉賀様から離れて行ったという
それもそうだろう、と納得してしまう
労わる、というか優しい言葉すらかけてもらえなかった、あの日


「どんな形だとしても、嘉賀様が結婚に踏み込んでいただけて私は嬉しいです」


勝田さんは先代の社長の自宅…
嘉賀様の実家の家政婦で
先代の社長が海外へ行くと共に
嘉賀様のお世話を先代の社長に任されたという

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