愛は尊い
「こんなとこで寝ていたのか」
その声にくっついていた瞼が勢い良く開きガバッと起き上がった
ドアの方を見れば
昼間に会った時と変わらない
スーツ姿の嘉賀様
『…あ、はい…おかえりなさい、嘉賀様』
私の言葉に嘉賀様の眉はピクリと動いた
何か失礼なことをしただろうかと考えたが、もしかしたら、起きていかなかったことが悪かったのかと思った
嘉賀様は遠慮なしに部屋に入り
私の目の前までやってきた
なんだろうとソファの上で正座をしてしまう
見上げた嘉賀様の眉間にはシワが寄っていて、明らかに不機嫌だ
「お前も今日から嘉賀だ。操と呼べ」
それだけ言って部屋から出て行こうとした
私は何を言われたかを理解するのに時間がかかってしまい、理解した頃には嘉賀…、操さんは部屋にはいなかった
ところで何をしに来たのだろうかと考えたが、よくわからない