愛は尊い
道具
迎えに来たのは、このマンションに連れてきてくれた秘書さんだった
「お迎えにあがりました」
「お乗りください」
「これからの予定をお伝えいたします、」
淡々と話す秘書さん
はい、と返事を返すだけだ
なぜ私が…専門医じゃない秘書に
これからの…妊活のスケジュールを聞かなきゃならないのか、
「音様、聞いていますか?」
外へと向けていた視線を戻せば
バックミラー越しにギロッと睨まれた
『聞いてます。検査して、基礎体温計って、グラフにすればいいって事ですよね』
あまり聞いていなかったが、耳に入ったフレーズと知識を絞り出した
その通りです、と私から視線を外した
一つため息をつく
ナギサが生理不順で
スマホのアプリで、管理していたのを私は知っていた
秘書さんはそれを言っているんだ
ナギサは生理不順…だけど
私は妊娠するための準備だ