愛は尊い


車に乗り込むと座席の上に
見慣れない紙袋が置かれていた
なんだろう、と紙袋を見ていると
聞きなれない音が聞こえてきた

秘書さんをちらっと見れば
何事もないように運転している
紙袋の中を見れば
そこにはフィルムがかかった
真新しいスマホが入っていた


音の正体はスマホだ
画面には【嘉賀 操】と出ている



ちらっと鏡越しに秘書さんを見ると
やはり何も言ってこない
恐る恐るスマホを手にし
画面をタップし耳に当てた



『…はい』


『俺だ。新しいのを用意した。自由に使え。俺の番号だけは登録した。何かあれば連絡しろ』



はい、と返事をする前に
通話は切れてしまった


これが新しいスマホ
手に持った真新しいスマホを見る
てっきりショップに行くのかと思っていたから、少し残念な気持ちだ

紙袋の中を見れば付属品と一緒に
クレジットカードが入っていた

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