愛は尊い



その日、私は食事を摂らず
そのまま眠ってしまった
勝田さんが帰ったのも知らず
そしてダイニングに
私分の食事も用意されていたのも知らず…


それに気がついたのは
操さんが帰ってきてからのこと
コン、コンとノックされた音で目が覚めた


毛布は勝田さんが片付けてしまったみたいで、ソファの上にはなく
仕方ないと、自分のカーディガンを掛け
丸まって眠りについた


入るぞ、と言う言葉が聞こえたが
数間には勝てず目も開けずにいた



「寝室はあっちだ。ここで眠ることは許さんぞ……聞いているのか?」



不機嫌な声だ
いつもと変わらない声だが
昨日とは違う、となんとなくわかった


すみません、と起き上がり
操さんを見向きもせず寝室へ向かった
だが、リビングに出れば操さんから無言の圧力を感じ
二人で遅い夕食を摂ることにした


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