愛は尊い


「郷田に優しく扱え、と言われた」


優しく…?
あぁ、そう言えばそんな事を言っていた
思い出したが
別に私がお願いしたことじゃない



『…郷田先生が、勝手に…』


そう告げると
あからさまに溜息をつき
私を見ようともせず


「お前は俺の子供を産むことだけ考えていればいい」


それだけ告げて
操さんは書斎へと入っていった
バタン、と閉められたドアの音
と、ともに
我慢していた涙が頬に触れた



やっぱり、無理だ…
たった二日…されど二日だ
こんな生活、耐えられない

だからと言って
誰かに助けを求めるなんて出来ない
もし、家に帰りたいと両親にすがったら?

そもそも借金を返すための結婚
初めから分かっていたが
理解していない部分の方が多かった
いや、多すぎたのかもしれない


理解するにも…
もう自分で受け入れられないでいた


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