愛は尊い


身体を温め、身体を洗おうとしたら
ノック音がした


「音様。勝田です、失礼します」


開けられたドアの向こうには
バスタオルを身体に巻いた勝田さん
まさかの姿に何がどうなってるんだと
勝田さんをマジマジ見てしまう


「音様、こちらへ…」


なんとなく理解した
ここまでされて断る術がない
私は勝田さんに身体、髪と綺麗に洗われた



「あんなに怒ることもないのに、と思いますが、…なにしろ不器用なんです」



ボソッと溢した勝田さんの言葉
なんだが、我が子を思うような
温かみがある感じがした


が、やはりそこは勝田さんだ


「明日から、ビシバシいきますので」


勝田さんの話だと
操さんの隣に立ち、披露される日が来る
だからその日までにそれそうの作法を身につけなきゃならない


なら初めから言ってよ、と思う
操さんの事を不器用だと言うが
勝田さんも不器用なんじゃないかと思った

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