愛は尊い


私はこれで失礼します、と
勝田さんは一礼をして部屋から出て行ってしまった


当たり前か、
時計を見れば
もう11時を過ぎていた
いつもは9時で帰る勝田さん

迷惑かけてしまった、か…



私が勝田さんとお風呂に入っている間に
操さんは食事を済ませていた

お風呂を上るときに
今日は寝室で休んでください、と
勝田さんにキツく言われてしまった


操さんは何も言わず
リビングのテーブルでパソコンを開いている
話しかける、なんてできない
けど無言で寝室に入るのも申し訳なくて


『…先に…休みます』


そう声を出したが
思ったより小さすぎて
操さんの耳に届いたかはわからない


初めて眠るベットに戸惑う
初日に見たあの散乱とした部屋ではない
眠れるだろう、とベットの左側に入った
なるべく、操さんの邪魔にならないように、壁側を向いて目を瞑った


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