愛は尊い


もしかしたら今夜は…と考えていたが
操さんは一向に戻る気配がなく
気がつけばパソコンも閉じられていた

別に期待していたわけではない
出来ればあんな痛い思い
二度としたくないわけだ

だから恐怖…でもある



あ、

楓さんに連絡しようとしていたことを
すっかり忘れていた
明日にでも連絡してみよう
操さんが用意してくれた
新しいスマートホンには
操さんの携帯番号と固定電話番号だけが登録してあった
固定電話はこの部屋のだ

多分、外から勝田さんに連絡を入れるときの為だろう
もう使えなくなった私のスマホ
友達や家族の番号が入っているが
新しい番号からかける気になれない

まだ私の中で抵抗があるからだ



操さんが帰ってきていても
私は一人広いベッドで眠る
もう慣れたものだと思っていても
やはり寂しいものだ


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