愛は尊い
私の様子を見ていた郷田先生
「あいつが笑った顔、見たくない?」
『…そりゃ、無愛想な顔をされるより、笑ってくれた方が…』
けど、それって操さんだから
ではなく
当たり前のことだ
毎日、避けられるように生活されるより
少なくてもいいから
きちんと言葉を交わしたい
…私を、見て欲しい
「君ならできるんじゃ、ないかな?」
私が?
郷田先生の顔を見ると
大丈夫と言わんばかりの笑顔
『…私…は、』
それを望んでいる?
操さんの笑顔が見たい?
結局、郷田先生に答えを出せないまま
診療は終わり
秘書さんの車でマンションへと帰った
出迎えてくれた勝田さん
郷田先生と話したことを
勝田さんに話してみた
昔から操さんを知っているなら
操さんが笑った姿くらい
見たことあるだろうと思ったからだ