愛は尊い



『おかえりなさい』



出迎えた私に
操さんは驚いた表情をする


「何故、起きている」



いつもなら寝ている時間
時計を見れば12時を指そうとしている
操さんの問いに答えず
私は入るなと言われていたキッチンへと足を踏み入れた



「おい」


『今、ご飯の用意しますので』


「勝田はどうした?」


『いつも通り9時に帰りましたよ』


そんな会話をしながらも
私はお鍋に火をつけ
冷蔵庫を開ける



「おいっ」


不機嫌な声が聞こえてきたが
操さんはキッチンには入ってこない
多分、そう躾けられたんだろう

男はキッチンに入るなと

それならそれでいい
操さんに理想を求めても無理だから
それならそれで
違う方法があるんじゃないな…
そう考えたら
少し気持ちが楽になったのだ


温めたチキンとキノコのクリーム煮
そして、サラダと毎食必ず食べるという納豆をトレイで運ぶ

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