愛は尊い
操さんは着替えもせず
鞄を置くこともせず
帰ってきたままの格好
『お待たせしました。どうぞ』
いつもダイニングテーブルに
ラップがかかったままに置かれていた料理
けど今日は美味しそうな湯気がでている
勝田さんが作ってくれる料理はどれを食べても美味しい
もちろん冷めても美味しいが
温かいとさらに美味しい
「どういうつもりだ」
座ろうとしない操さんに
座るはずの向かいに腰を下ろした
『操さんの妻ですから』
そう、戸籍上は妻だ
それらしいことは何もしていない
どんなにあがいても
もう逃げる事はできない
なら、受け入れるしかない…
『夫である操さんがおそくまで仕事をして帰ってきたのに、お帰りなさいも言わず、冷たい料理を食べているなんて、妻として失格ですから…これからは、温かい料理を出します』