愛は尊い


操さんにそう伝えるが
怪訝な顔をしている



「必要ない。勝田にもそう伝えたはずだ、余計なことをするな」


余計なこと…
一瞬、怯みそうになった
けど、このままじゃ
やっぱりダメなんだと思い直す


『勝田さんには私からお願いしました。勝田さんも以前から気にしていました。これからは私が、温かい料理を出します』


そう言い切ると
操さんはいいかえす気も失せたのか
もういい、と言って
書斎へと行ってしまった



しまった…と思ったが、遅し
リビングはシーンと静まり
テーブルに置かれた料理は
湯気がまだ立っている


片付けようか、それとも…と考えていたら、上着を脱ぎワイシャツ姿の操さんが書斎から出てきた

どうするのかと操さんを目で追っていたら、無言でテーブルについてくれた
話しかけようとしたが
操さんは無言で食事を始めてしまった

…けど、良かったと安堵した



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