愛は尊い
距離
それからという日々
操さんは何も言わず
勝田さんが作ってくれた夕食を
私が温め直して出せば食べてくれる
食べ終われば
食器を下げ洗うのは
次の朝の勝田さんではなく私だ
操さんはそのままお風呂へと行くが
寝室に来るのはもっと遅く
書斎へと必ず入って行く
何も話してくれないが
それでも操さんとの時間は増えた
『せめて、ごちそうさまくらい言って欲しいです』
「高望みしすぎです」
そもそも、私が作っているんです
冷ややかな目線が突き刺さり
言い返すすべもない
ごもっともです…
私が作っているわけじゃない
…なら、私が作ったら
ごちそうさまって言ってもらえるんじゃないか?
『勝田さんっ』
「無理です」
勝田さんと言葉が被る
勝田さんは一つため息をつき
外食は別として
誰かが作る料理は
勝田さん以外のは食べないという