君がくれたセカイ
第1章 出逢い

今思えば、あれは

一目惚れだったのかもしれない。

でも、
私には付き合っている人がいた。

中学3年生のとき。


受験を終えた私は

華のJKとも呼ばれる高校生活を
想像し胸を弾ませていた。

昔から憧れていた
ドラマやマンガのような青春。

人見知りで友達ができるか
心配だったけど光に満ち溢れた
妄想を胸にした私は不安より
期待の方がずっと大きかった。

「あー、彼氏欲しいなー」

私と同じ『桜木坂高校』に合格した
親友の高木葵が口を開く。

放課後のマックは高校生の大群で
賑わっていた。

「ねぇ、空!聞いてる?」

ボーッとしている私の口に
ポテトを詰め込まれる。

「やっ、ごめん!聞いてるよ!」

「もー、空は?彼氏欲しくないの?」

彼氏…か。
過去に彼氏がいた事はあるが
長く続いた事はなくて
デートしたことも数回。
手を繋いだ事はあっても
キスしたこともない。

欲しくないと言ったら嘘になるし
私の描く青春に彼氏がいたら
より素晴らしいものになるだろう。

「欲しい…かな?」

「だーよーね!
空、大吾といい感じじゃん?
付き合っちゃえば?
高校生活リア充しよ!」

大吾、そう呼ばれたのは
私の元カレ。

高校は違うけど最近LINEも
続いていて仲がいい友達だった。

このころ好きな人も居なかったし
大吾は頼りがいがあって優しいし
顔もそこそこだし。

悪くないな、そう思って
恋バナをふったら勢いで
付き合うことになったんだっけ。



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