楽園
神様のいたずら
華と健太郎がやり直してから2年が過ぎた。
華は相変わらずあの出版社に勤め、
前のような専業主婦のような状態には戻らなかった。
健太郎は華と一緒になって落ち着いたのか
以前ような寂しさは消えた。
夫婦のように生活したが婚姻届は出さなかった。
子どもができたら考えようかと話していたが2年経っても出来ていない。
華はもうすぐ37だ。
健太郎も今年で40になる。
華は相変わらずミミを子供のように可愛がっていた。
華は今の生活に満足していた。
仕事上がりにレイトショーを観たり、
時には旅行に出掛けたり
二人だけの時間を楽しく過ごしていた。
健太郎は以前よりずっと優しくて華もそれなりに幸せだった。
そして翔琉との記憶は華の中で少しずつ薄れていった。
もちろん忘れたことは無いが
あの時のように恋い焦がれた気持ちは時間が整理してくれると思った。
一方翔琉は夏希との生活で疲れきっていた。
夏希と結婚しても全く上手くいかなかった。
翔琉は夏希を愛することが出来ず
夏希は翔琉が結婚前に別れたがった事を
いつまでも忘れられず
翔琉に対して不信感が募っていった。
その事をいつまでも責め、
その理由が何だったのか
翔琉が絶対に口にしなかったことに腹を立てた。
しかし、翔琉の描いた絵を見た夏希はその事に気がついた。
「瀧澤さんのことが好きだったの?」
夏希はその絵を翔琉の前で破いた。
その事でますます夏希は荒れ
翔琉は夏希と話さなくなった。
夏希は精神的に不安定で
翔琉は夏希がまたいつ手首を切るかと思うと怖かった。
結局夏希の両親がそんな夏希を翔琉と別れさせた。
夏希は暫く病院に通い、翔琉のことを忘れる努力をした。
翔琉はまた自分と関わった女を不幸にしたと自分を責めた。
そしてもう誰も寄せ付けなかった。
しかし神様は華と翔琉をまた出逢わせてしまった。
華はその日、仕事で春画展の取材に行った。
そこで翔琉に偶然会ってしまった。
「久しぶりだね。」
翔琉はたった2年でずいぶん年をとった気がした。
まだ若いというのに髪が少し白くなっていて
華は翔琉に何があったのかと不安になった。
しかし相変わらずカッコはよくて
翔琉は回りの視線を集めていた。
「ここへは仕事?
相変わらずあそこに居るみたいだね。」
「うん。翔琉は絵を観に来たの?」
「あの仕事を受けた時から
何となく興味があってね。
華のところで描いたあの絵は好評で
他からも似たような依頼を貰ったりしたんだ。」
私はあの後翔琉が他の出版社の本で描いた
現代の春画特集を思い出した。
あの絵に描かれた自分は淫らで美しかった。
華の机の引き出しには今でもあの絵がしまってある。
「今もああいう絵を?」
「いや、今は青年向けのコミックで描かせてもらってる。
あの時とは違うペンネームで…
もっとも原作があって俺が描くのは絵だけってのは変わってないけど。」
華はあえて名前は聞かなかった。
名前なんか聞かなくても翔琉の描いた絵はきっとわかるからだ。
「夏希さんは元気?」
健太郎はその質問に答えず
「良かったらお茶でも飲まないか?」
と華を誘った。
華は相変わらずあの出版社に勤め、
前のような専業主婦のような状態には戻らなかった。
健太郎は華と一緒になって落ち着いたのか
以前ような寂しさは消えた。
夫婦のように生活したが婚姻届は出さなかった。
子どもができたら考えようかと話していたが2年経っても出来ていない。
華はもうすぐ37だ。
健太郎も今年で40になる。
華は相変わらずミミを子供のように可愛がっていた。
華は今の生活に満足していた。
仕事上がりにレイトショーを観たり、
時には旅行に出掛けたり
二人だけの時間を楽しく過ごしていた。
健太郎は以前よりずっと優しくて華もそれなりに幸せだった。
そして翔琉との記憶は華の中で少しずつ薄れていった。
もちろん忘れたことは無いが
あの時のように恋い焦がれた気持ちは時間が整理してくれると思った。
一方翔琉は夏希との生活で疲れきっていた。
夏希と結婚しても全く上手くいかなかった。
翔琉は夏希を愛することが出来ず
夏希は翔琉が結婚前に別れたがった事を
いつまでも忘れられず
翔琉に対して不信感が募っていった。
その事をいつまでも責め、
その理由が何だったのか
翔琉が絶対に口にしなかったことに腹を立てた。
しかし、翔琉の描いた絵を見た夏希はその事に気がついた。
「瀧澤さんのことが好きだったの?」
夏希はその絵を翔琉の前で破いた。
その事でますます夏希は荒れ
翔琉は夏希と話さなくなった。
夏希は精神的に不安定で
翔琉は夏希がまたいつ手首を切るかと思うと怖かった。
結局夏希の両親がそんな夏希を翔琉と別れさせた。
夏希は暫く病院に通い、翔琉のことを忘れる努力をした。
翔琉はまた自分と関わった女を不幸にしたと自分を責めた。
そしてもう誰も寄せ付けなかった。
しかし神様は華と翔琉をまた出逢わせてしまった。
華はその日、仕事で春画展の取材に行った。
そこで翔琉に偶然会ってしまった。
「久しぶりだね。」
翔琉はたった2年でずいぶん年をとった気がした。
まだ若いというのに髪が少し白くなっていて
華は翔琉に何があったのかと不安になった。
しかし相変わらずカッコはよくて
翔琉は回りの視線を集めていた。
「ここへは仕事?
相変わらずあそこに居るみたいだね。」
「うん。翔琉は絵を観に来たの?」
「あの仕事を受けた時から
何となく興味があってね。
華のところで描いたあの絵は好評で
他からも似たような依頼を貰ったりしたんだ。」
私はあの後翔琉が他の出版社の本で描いた
現代の春画特集を思い出した。
あの絵に描かれた自分は淫らで美しかった。
華の机の引き出しには今でもあの絵がしまってある。
「今もああいう絵を?」
「いや、今は青年向けのコミックで描かせてもらってる。
あの時とは違うペンネームで…
もっとも原作があって俺が描くのは絵だけってのは変わってないけど。」
華はあえて名前は聞かなかった。
名前なんか聞かなくても翔琉の描いた絵はきっとわかるからだ。
「夏希さんは元気?」
健太郎はその質問に答えず
「良かったらお茶でも飲まないか?」
と華を誘った。