楽園
運命
華が出発する日が近づいた。
健太郎は荷造りする華を手伝い、
笑って見送ろうと思っていた。
ところが出発を目前にして、健太郎は華の前で急に倒れた。
華は救急車を呼んで健太郎は病院に運ばれた。
健太郎は昔の事故が原因で頭に爆弾を抱えていて
いつ倒れてもおかしくなかった。
健太郎の意識は戻らず
出発の日が来たが、華は結局、空港には現れず
翔琉は一人でニューヨークへ旅立った。
翔琉とは一緒になれない運命だと華は諦めるしかなかった。
華と翔琉はまた別の人生を歩むことになった。
それからまた3年が過ぎた。
健太郎は回復したが
半身に麻痺が残り歩くのが困難になった。
それから華が翔琉と出逢って愛し合った事や
華と離婚した記憶は健太郎の頭の中から消えていた。
華は健太郎に尽くし
翔琉との事は忘れようと胸の中にしまった。
その頃、翔琉はニューヨークで成功し、
凱旋帰国することになった。
翔琉の描いた絵はニューヨークで大きな賞を獲り
テレビでも取り上げられたほどだ。
日本に戻ったときは空港にテレビの取材の記者が来ていたほどだった。
華はそれをテレビで見て影ながら
翔琉の成功を喜んだ。
翔琉は未だに独身で
翔琉が賞を獲った絵も華にそっくりの女の絵だった。
翔琉が昔描いた春画特集は書籍化され
あっという間に評判になった。
「この人が描く女って華に似てるよね。」
華は色んな人にそう言われたが
誰も華本人を描いた物だとは知らない。
ただ、テレビでそれを観た健太郎だけが何も知らずに
「華だ…」
と言った。
華は相変わらずあの出版社にいた。
健太郎が働けない今、華が支えて行くしか無い。
しかし編集長は成人向けの男性誌をやめて
女性誌に替えた。
そういう女性誌はあまり無いし、
ネットで注文出来るので秘かに売れていた。
「華ちゃん、春画の先生に逢ってもらえない?」
「どうしてですか?」
「連絡があったの。
瀧澤さんに連絡取りたいって。
知り合いだったのね。
先生が描くあの女は華ちゃんに似てるんじゃなくて
華ちゃんがモデルだったみたいね。
どおりでね。
そこで、知り合いなら逢ってお願いしてくれない?
ウチに1枚でいいから春画を描いて欲しいって。
あんな有名になってウチみたいな弱小エロ雑誌に描いてくれるワケ無いと思うけど…
モデルが華ちゃんなら話は変わってくるわ。
華ちゃん、先生とはただならぬ仲なんでしょ?
じゃなきゃあんな風には描けないもの。」
華はもう翔琉と関わりたくなかった。
「お断りします。」
「そんなこと言わないでお願い。
今をときめく先生が一枚描いてくれればそれだけで話題になるはずよ。」
「編集長、それは無理ですよ。」
「これは命令よ。先生に逢って一枚でいいから描いてもらって。
じゃないとウチは今のままじゃ危ないの。
話題が欲しいのよ。」
どう考えても翔琉にそんなことをお願いしたくも無いし、無理だと思った。
しかし、編集長に泣きつかれて華はダメモトで翔琉に会うことになった。
翔琉が指定したのはホテルの一室だった。
華は恐る恐るその扉を開けた。
健太郎は荷造りする華を手伝い、
笑って見送ろうと思っていた。
ところが出発を目前にして、健太郎は華の前で急に倒れた。
華は救急車を呼んで健太郎は病院に運ばれた。
健太郎は昔の事故が原因で頭に爆弾を抱えていて
いつ倒れてもおかしくなかった。
健太郎の意識は戻らず
出発の日が来たが、華は結局、空港には現れず
翔琉は一人でニューヨークへ旅立った。
翔琉とは一緒になれない運命だと華は諦めるしかなかった。
華と翔琉はまた別の人生を歩むことになった。
それからまた3年が過ぎた。
健太郎は回復したが
半身に麻痺が残り歩くのが困難になった。
それから華が翔琉と出逢って愛し合った事や
華と離婚した記憶は健太郎の頭の中から消えていた。
華は健太郎に尽くし
翔琉との事は忘れようと胸の中にしまった。
その頃、翔琉はニューヨークで成功し、
凱旋帰国することになった。
翔琉の描いた絵はニューヨークで大きな賞を獲り
テレビでも取り上げられたほどだ。
日本に戻ったときは空港にテレビの取材の記者が来ていたほどだった。
華はそれをテレビで見て影ながら
翔琉の成功を喜んだ。
翔琉は未だに独身で
翔琉が賞を獲った絵も華にそっくりの女の絵だった。
翔琉が昔描いた春画特集は書籍化され
あっという間に評判になった。
「この人が描く女って華に似てるよね。」
華は色んな人にそう言われたが
誰も華本人を描いた物だとは知らない。
ただ、テレビでそれを観た健太郎だけが何も知らずに
「華だ…」
と言った。
華は相変わらずあの出版社にいた。
健太郎が働けない今、華が支えて行くしか無い。
しかし編集長は成人向けの男性誌をやめて
女性誌に替えた。
そういう女性誌はあまり無いし、
ネットで注文出来るので秘かに売れていた。
「華ちゃん、春画の先生に逢ってもらえない?」
「どうしてですか?」
「連絡があったの。
瀧澤さんに連絡取りたいって。
知り合いだったのね。
先生が描くあの女は華ちゃんに似てるんじゃなくて
華ちゃんがモデルだったみたいね。
どおりでね。
そこで、知り合いなら逢ってお願いしてくれない?
ウチに1枚でいいから春画を描いて欲しいって。
あんな有名になってウチみたいな弱小エロ雑誌に描いてくれるワケ無いと思うけど…
モデルが華ちゃんなら話は変わってくるわ。
華ちゃん、先生とはただならぬ仲なんでしょ?
じゃなきゃあんな風には描けないもの。」
華はもう翔琉と関わりたくなかった。
「お断りします。」
「そんなこと言わないでお願い。
今をときめく先生が一枚描いてくれればそれだけで話題になるはずよ。」
「編集長、それは無理ですよ。」
「これは命令よ。先生に逢って一枚でいいから描いてもらって。
じゃないとウチは今のままじゃ危ないの。
話題が欲しいのよ。」
どう考えても翔琉にそんなことをお願いしたくも無いし、無理だと思った。
しかし、編集長に泣きつかれて華はダメモトで翔琉に会うことになった。
翔琉が指定したのはホテルの一室だった。
華は恐る恐るその扉を開けた。