クールな御曹司と愛され政略結婚
「いい、すごく」
なにその子供みたいな褒め言葉。
メイクさんとプランナーさんが、一生懸命笑いを隠している。
せっかくなら当日驚かせてあげようと、選ぶのもサイズ直しも、ドレスに関することは私ひとりでやったので、どんなドレスを選んだかすら灯は知らなかった。
その甲斐はあったらしい。
「覚えてるか? ウェディングドレスを使う撮影をしたとき、メイクさんがさ」
「覚えてる、衣装さんに懇願して、撮影後に着せてもらったんだよね」
「そうそう。あのときはただ面白く見てたんだけど、今わかった」
艶めくトレーンをしげしげと眺め、感心したように言う。
「本当に特別なドレスなんだな。こりゃ着たいだろうし、着せたいって男の心理も納得だ」
「ドレスの話だったの?」
気を悪くしたふりをすると、灯は一瞬きょとんとし、それから笑った。
「すごくいいって言ったのは、中身も含めての話」
「ありがと」
当の灯こそ、カタログから抜け出てきたみたいに、様になっている。
明るいグレーのタキシードに、白いシャツ、シルバーのタイ。
バランスのとれた長身に、ほどよくついた筋肉。
正装の上からでもそれが見てとれて、おまけに顔は、微笑めばたいていの女を虜にできる──実際してきた──感じよく整った嫌味のない二枚目。
そしてきれいな長い指には…
「…なんでシャンパングラス持ってるの?」
「ホワイエのウェイティングカクテルもらってきた」
新郎が、式の直前に飲む気か。
そして、器用にも片手にふたつ持っているのは、なぜなのか。
「こっち唯のぶんな、はい、ゼロ次会しようぜ」
「えええ…」
なにその子供みたいな褒め言葉。
メイクさんとプランナーさんが、一生懸命笑いを隠している。
せっかくなら当日驚かせてあげようと、選ぶのもサイズ直しも、ドレスに関することは私ひとりでやったので、どんなドレスを選んだかすら灯は知らなかった。
その甲斐はあったらしい。
「覚えてるか? ウェディングドレスを使う撮影をしたとき、メイクさんがさ」
「覚えてる、衣装さんに懇願して、撮影後に着せてもらったんだよね」
「そうそう。あのときはただ面白く見てたんだけど、今わかった」
艶めくトレーンをしげしげと眺め、感心したように言う。
「本当に特別なドレスなんだな。こりゃ着たいだろうし、着せたいって男の心理も納得だ」
「ドレスの話だったの?」
気を悪くしたふりをすると、灯は一瞬きょとんとし、それから笑った。
「すごくいいって言ったのは、中身も含めての話」
「ありがと」
当の灯こそ、カタログから抜け出てきたみたいに、様になっている。
明るいグレーのタキシードに、白いシャツ、シルバーのタイ。
バランスのとれた長身に、ほどよくついた筋肉。
正装の上からでもそれが見てとれて、おまけに顔は、微笑めばたいていの女を虜にできる──実際してきた──感じよく整った嫌味のない二枚目。
そしてきれいな長い指には…
「…なんでシャンパングラス持ってるの?」
「ホワイエのウェイティングカクテルもらってきた」
新郎が、式の直前に飲む気か。
そして、器用にも片手にふたつ持っているのは、なぜなのか。
「こっち唯のぶんな、はい、ゼロ次会しようぜ」
「えええ…」