クールな御曹司と愛され政略結婚
浮かれすぎた結果が、先の勘違いだ。
木場くんの想像する"愛され"のレベルとは程遠いだろうなと思うと、情けなくもあるけれど、私なりに進んでいる。
今日はいい一日にしよう。
「最悪だ」
「やめてよ」
打ち合わせから戻ったら、席を外していた間に出勤してきていた灯が、PCを見つめてうつろな目をしていた。
「なにをやめるんだ」
「私、今日はすてきな情報しか耳に入れたくないの」
「頭に花が咲いてるところ悪いがな、けっこうな知らせだぜ」
これ絶対朝のこと覚えていないな。
眠たげな甘いキスを儚く思い出しながら、灯の画面をのぞき込んだ。
開かれていたのはメールだった。
二度読んだ。
「えー!」
「俺はなんのためにゆうべ、あんな疲れてまで愛想笑いしてきたんだ…」
灯が顔を覆って天井を仰いでしまう。
無理もない。
メールは、コンペの結果が"再提案"になったことを知らせるものだった。
「謝罪があった。購買部がどうしてもと言ったそうだ。ゼロの提案した価格が魅力だったらしい」
「安さ重視なら再提案じゃなく、ゼロに決めればいいだろ」
「そう言うな、先方も社内で勢力が絡み合ってるんだ」
社長室には、世界中の広告賞や映画祭で勝ち取ったトロフィーや盾が並んでいる。
つややかな木製のデスクの向こうで、灯のお父さんがたしなめるように言った。
木場くんの想像する"愛され"のレベルとは程遠いだろうなと思うと、情けなくもあるけれど、私なりに進んでいる。
今日はいい一日にしよう。
「最悪だ」
「やめてよ」
打ち合わせから戻ったら、席を外していた間に出勤してきていた灯が、PCを見つめてうつろな目をしていた。
「なにをやめるんだ」
「私、今日はすてきな情報しか耳に入れたくないの」
「頭に花が咲いてるところ悪いがな、けっこうな知らせだぜ」
これ絶対朝のこと覚えていないな。
眠たげな甘いキスを儚く思い出しながら、灯の画面をのぞき込んだ。
開かれていたのはメールだった。
二度読んだ。
「えー!」
「俺はなんのためにゆうべ、あんな疲れてまで愛想笑いしてきたんだ…」
灯が顔を覆って天井を仰いでしまう。
無理もない。
メールは、コンペの結果が"再提案"になったことを知らせるものだった。
「謝罪があった。購買部がどうしてもと言ったそうだ。ゼロの提案した価格が魅力だったらしい」
「安さ重視なら再提案じゃなく、ゼロに決めればいいだろ」
「そう言うな、先方も社内で勢力が絡み合ってるんだ」
社長室には、世界中の広告賞や映画祭で勝ち取ったトロフィーや盾が並んでいる。
つややかな木製のデスクの向こうで、灯のお父さんがたしなめるように言った。