クールな御曹司と愛され政略結婚
「今朝のこと覚えてる?」
「今朝?」
「私が起きようとしたとき」
「俺、今日の記憶は昼から始まってるんだけど」
ふん、やっぱりね。
別にいいけど、と自己完結してアルバムをめくる。
「夢なら見た気がする」
「えっ」
それはもしやと淡い期待をしたけれど、記憶を探るように、しきりに首をひねっているのを見ると、どうやら違うらしい。
「なんか…よくわからないものに襲いかかられる感じの、疲れる夢」
「それ、確実にお姉ちゃんでしょ」
「久々に強烈だったからなあ…」
夢にまで影響を与えるって、よほどだ。
その結果のキスか、あれは。
なんとなくがっかりしていると、灯の手が肩に伸びて、私を抱き寄せた。
顔をのぞき込むようにして、唇を軽く合わせてくる。
思わず「なに?」と驚くと、「理由がいるのか」と心外そうな顔をされた。
「そうじゃないけど…」
「そんな微妙な反応するならもうしない」
「ごめん、だって、珍しいから」
「なにが」
「えーと、灯から、こんな感じにキスしてくれるのとか」
言ったとたん、灯の目つきが冷たくなる。
「お前からされた記憶のほうがないんだけど」
「え!」
「今朝?」
「私が起きようとしたとき」
「俺、今日の記憶は昼から始まってるんだけど」
ふん、やっぱりね。
別にいいけど、と自己完結してアルバムをめくる。
「夢なら見た気がする」
「えっ」
それはもしやと淡い期待をしたけれど、記憶を探るように、しきりに首をひねっているのを見ると、どうやら違うらしい。
「なんか…よくわからないものに襲いかかられる感じの、疲れる夢」
「それ、確実にお姉ちゃんでしょ」
「久々に強烈だったからなあ…」
夢にまで影響を与えるって、よほどだ。
その結果のキスか、あれは。
なんとなくがっかりしていると、灯の手が肩に伸びて、私を抱き寄せた。
顔をのぞき込むようにして、唇を軽く合わせてくる。
思わず「なに?」と驚くと、「理由がいるのか」と心外そうな顔をされた。
「そうじゃないけど…」
「そんな微妙な反応するならもうしない」
「ごめん、だって、珍しいから」
「なにが」
「えーと、灯から、こんな感じにキスしてくれるのとか」
言ったとたん、灯の目つきが冷たくなる。
「お前からされた記憶のほうがないんだけど」
「え!」