クールな御曹司と愛され政略結婚
「あれだな、出会うはずのない別のシリーズの主人公が並んだみたいな」

「ウルトラマンとゴジラ的な」

「それだ」



一樹先輩が、私たちを見てにっと笑った。



「そっちのふたりも、なんかいい空気出てんね」



私は返事のしようがなく、カクテルグラスを傾ける。



「野々原が要子を好きとかいうアホみたいな勘違いからは抜け出せたの、唯子ちゃん?」



私も灯も、お酒を吹き出した。

灯がぎろっとこちらを見てくる。



「お前、また海堂にばかりそうやって相談とか…!」

「ち、違う、たまたま会ったときに、そんな話になっただけで」

「最初からそれを俺に言ってれば、悩む必要なんてなかったんだぞ」

「言えないから悩んでたんだってば。ていうか先輩も、それが勘違いだって知ってたの?」

「当たり前じゃん」

「教えてよ!」

「こじれたらゼロに来てくれるかなと思って」



鬼!

今思うとバカみたいだけど、私なりに真剣に悩んでいたのに!



「帰ってすぐ要子に報告してさー、唯子ちゃんは相変わらずかわいいねえって我が家は笑いの渦だよ」



ぐ…。

そうか、このふたりの間では、ずっと情報共有されていたのだ。

いたたまれない…。

落ち込む私の頭を、よしよしと灯がなでてなぐさめてくれる。
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