クールな御曹司と愛され政略結婚
式から参列してくれた、高校や大学の友人たちが、複数で楽しそうに酔っぱらっている写真を今しがたアップしていた。

私の友人と灯の友人は、世代も近いし、人によっては学校も同じだったりして、二次会で予想以上に意気投合した。

灯の友達は激務系の男性が多く、結婚するひまがなかった優良物件ばかり。

私の友達もバリバリに働いているキャリアが多くて、そのせいかほぼ未婚。



「後でみんなから結果聞こうっと」

「ちょっとした合コン開催した気分だな」

「実際、近いものはあるね」



もしかしたら感謝されるかもしれない。

ふーん、と灯の手からマウスを取って、タイムラインを追っていたら、いきなりぱたんとPCを閉じられてしまった。



「見てたのに」

「寝ようぜ」



私の飲みかけのカップを取り上げ、自分のと一緒にキッチンカウンターに置く。

それから私の手を引いて、ドアに向かった。



「あの、灯」

「嫌とかダメとかなら、別に無理強いしないけど」



急ぐわけでもなく、仲よく手をつないで、廊下に出る。

それも子供みたいなつなぎ方で。

振り返った灯の顔に、からかいの色はもうなくて、ただ優しく私の意向を探ってくれているのがわかり、ほっとした。

同時にまた始まる、どくどくという鼓動。



「…嫌でもダメでもないよ」

「よかった」



バスルームの向かいに寝室はある。

遮光度の高いカーテンが、白みはじめた空から室内を守り、まだ夜の静けさを保ってくれていた。


寝具とか、じっくり選ぶのが恥ずかしくて、展示してあったものを一式買った。

土曜日であった昨日を、私はこの家を整えるのに費やし、ベッドも整えた。

落ち着いたグレージュの寝具たち。
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