桃色恋模様



そんなアタシの日課は、中等部の体育を見ること。


中高一貫のこの学校にも、校庭はひとつしかなくて。

ちょうどアタシのクラスからもバッチリ見える。


その体育の時間は、いつも決まって国語の時間で。


「ちょっと、楠さん!!あなた授業、聞いてるの!?」

「え。あ、聞いてます。安心して授業進めてください。」


アタシはこの時間、いつもこの言葉を最低10回は聞いてる。


それでもやめられない。
だって卓が好きなんだもん~~♪


今日はバレーの授業で。
アタシは準備体操の時からテンションマックス。

卓がブロックなんて決めると、アタシはもう、いてもたってもいられなくて。
思わず立ち上がって、


「卓~~!!かっこい~!!」


なんて、言っちゃうんだ。

だからアタシはいつも、


「なんで・・・」


皆より、課題が倍ある。


でもね、こんな課題も、卓のためなら1時間で終わらせちゃうんだ。


「まったく。凛もすごいよね。」

「普通授業中立ち上がって叫ばないって。」

「ってか、叫べないよね。」


皆のこんな言葉も。
アタシには、応援の言葉にしか聞こえない。


「みんなありがとう!アタシは元気です。もっと頑張っちゃうから!!それじゃあ」

「課題頑張れ~~」

「ばいば~い」

「警察に捕まったりしないでよ」


今日も一日終わり。
アタシはいつも、皆と帰らないで図書館へ行く。


受験生でおまけに特類選抜の卓を待ってるんです。



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