【短編集】その玉手箱は食べれません


 さっきまで覗いていた窓から朝日が射すとキラキラ埃が浮かび上がりました。


 しゃれた家具がいっさい置いてない殺風景な部屋を横切った朝日は床に落ちていた一本の筆にスポットライトを浴びせました。


 目敏く気づいた男の子は筆を拾い、しばらく筆を眺めていました。


 ガラン、ガラン……。


 家の中で物音が響きました。


 その刹那、男の子は絵描きの家を飛び出していました。


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