【短編集】その玉手箱は食べれません


「どっちを選ぶか聞く必要はないだろ」


「この期に及んでまだ左を毛嫌いするの?」

 相手は驚いたように声を上擦らせた。


「おれはリトルリーグ時代にレフトのポジションを掴み取ることができた。でも大事な試合でエラーをしてから“左”が嫌いになったんだよ」


「そんなことで……ハハハ」

 相手はおれを嘲笑する。


「トラウマってやつさ。本当に左が嫌いなんだよ」


「例えば?」


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