【短編集】その玉手箱は食べれません
「うんうん」
ウエイトレスは目を輝かせて話の結末を急かせる。
「住民課の人たちがその蓋を開け、ライトを照らすとピンクのチョークで“こっち→”と案内を意味する言葉が小さく書いてあった。その“こっち→”という矢印付きの文字は1メートル間隔で続き、徐々に文字も大きくなっていった。そして、文字が途切れたところは石炭庫の隅っこで半分ミイラ化した子供の死体が壁に寄りかかっていたんだ」
「きゃ~それ怖すぎですよぉ~」
仰け反って怖さを表現したウエイトレスだったが、顔は笑っていた。