【短編集】その玉手箱は食べれません
「まだ怖がるのは早いよ。この話にはまだ続きがあるんだ」
「えっ?」
「この都市伝説をつくったのは実は私なんだ。あそこに座っている彼だけが人気者になるのは癪だったからね」
マスターの口が片方だけ歪に吊り上がった。
「そ、そうなんですか」
どう反応していいのかわからず、ウエイトレスはとりあえず相づちを打った。
「だけど彼は私よりさらに怖い話をつくるって言うんで、SLの石炭庫に都市伝説どおりに閉じ込めてあげたんだよ」