【短編集】その玉手箱は食べれません


 計画を実行するにはこの上ない条件が揃っていた。


 校庭内に静かに滑り込ませ、車から降りてきた4人は霧に煙る景色を見て胸をなで下ろした。


 校庭から見下ろした町は白く覆われ、小高い丘の上にある学校を隠してくれている。


 ユウキが誇らしげに言った。

「これなら気づかれる心配はない」


「そうだな」


「ああ」


「そうね」

 ツバサ、トモヤ、ノリ子の3人も同調して、素早く、静かに返事をかえす。

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