【短編集】その玉手箱は食べれません
「いまのいままで忘れていた」
ユウキの手からスコップが滑り落ちた。
「あれは事故だったんだ……」
トモヤが俯いてポツリともらす。
「気にすることないさ。掘っているときに後ろでボッーとしていたミサキに気づかなくてスコップが頭に刺さってしまったんだから」
「そうよ」
「時効は成立しているんだから。そんなに落ち込むことないさ」
ユウキとノリ子がトモヤに慰めの言葉をかける。
「おれはてっきりミサキさんの遺体をどこかに移動させると思ってやってきたんだぞ」
ツバサは冷たい視線を皆に送った。